【2nd Kitchen お弁当】お弁当ハテナその4 お弁当に必ず入っている梅干しについて  

市販のお弁当を購入したとき、ご飯の上に梅干しが乗っていたり、たくあんなどの漬物と一緒に添えられたりしています。おにぎりの具としても馴染みが深く、お弁当と梅干は切っても切れない関係というイメージを持つ方も多いのではないでしょうか。なぜ、お弁当に梅干しが入っているのでしょうか。

 

梅干しが持つ殺菌効果と防腐効果

梅干しは収穫した梅の実を収穫して塩漬けしたあと、天日干しして作る長期保存食です。塩漬けや天日干しによって水分が減ると雑菌が繁殖しにくくなるため保存性が高まり、梅干し自体が腐りにくくなります。

梅干しが一般的に食べられるようになったのは江戸時代頃といわれていますが、この頃に作られていた梅干しは塩分濃度が30%もあるといわれています。塩分が多い梅干しは保存性が非常に高く、江戸時代につけられた梅干しを試食したところ問題なく食べられたという話もあります。

また、梅干しの酸っぱさを作り出している「クエン酸」には殺菌効果があります。

このような梅干しが持つ殺菌効果と防腐効果から、おにぎりやお弁当などに入れると食材が傷みにくいといわれ、使われるようになりました。

 

過信は禁物

梅干しには殺菌効果や防腐効果がありますが、梅干しの塩分が防腐効果を発揮するのは「塩分が触れている部分だけ」です。そのため、おにぎりに梅干しを入れても傷みにくくなるのは梅干しが入っている中心部分のみで、梅干しに接していない外側部分の傷みやすさは通常のご飯と同じです。

また、クエン酸の殺菌効果が発揮されるのは「食べたあと」です。

梅干しは、限定された範囲で防腐効果を発揮し、食べると食あたりを防ぐ効果が期待できる食材という程度に考え、効果を過信しないよう注意しましょう。

 

市販の梅干しの多くは殺菌・防腐効果がない

近年、健康志向の高まりから梅干しも減塩傾向にありますが、梅干しの殺菌・防腐効果は梅干しに含まれる塩分によって作られています。

現在、市販されている梅干しの大半は減塩処理をされた「調味梅干」が占めており、塩分が多い梅干しのような殺菌・防腐効果を持っていません。

 

まとめ

防腐効果や殺菌効果を期待してお弁当やおにぎりに入れられるようになった梅干しですが、その効果は限定的なものです。

また、現在市販されている梅干しの多くは昔ながらの製法で作られた梅干しのような殺菌・防腐効果を持っておらず、昔から言われてきた梅干しの効果も今では「迷信」のようなものといえます。

しかし、お弁当に梅干しが入っていないと寂しい、梅干しが入ったお弁当を見ると懐かしい気分になるという人も多く、ご飯との相性もよいことから、現在でも「お弁当の定番」として愛されています。