【2nd Kitchen コラム】食感を楽しむ秋の果物

前回のコラムではビタミンCが摂取できる秋の果物を紹介しましたが、今回は食感を楽しむことが出来る秋の果物についてです。

なし 梨 japanese pears

バラ科。生産のトップは千葉県で、その他、茨城県や栃木県、鳥取県で収穫されています。日本なしは、果皮が茶褐色で甘みが強い赤なし系と、果皮が緑がかっていて水けが多い青なし系とがあります。赤なし系には、幸水、豊水、南水などがあり、青なし系は、二十世紀、二十一世紀などが挙げられます。また、なしは、“無し”に通じる縁起が悪い名前として、反対に“有りの実”という別名があるようです。

●赤なし系

・幸水:形はやや扁平で果肉はやわらかく果汁がたっぷりで甘みが強い品種

・豊水:やや大きめで甘みとともに酸味も備わっており、味の良い品種

・南水:大型のなしで、果肉はやわらかくて甘みが強いのが特徴の品種

*豊水や南水は日持ちが良く、贈答用にも用いられている品種です

●青なし系

・二十世紀 :鳥取のブランド品であり、歯ざわりと果汁たっぷりの甘い果肉が特徴の品種

・二十一世紀:「二十世紀」が品種改良されたもので甘みが強くなった品種

<選ぶ際のポイント>

皮がざらざらしていて色むらがなく、ハリがあって重みのあるものがよく、横に大きく、腰の低い感じのものが甘いとされています。また、赤なし系は尻の部分まで色づいたものを、青なしは黄色地にほんのり緑色の残るものが良いとされています。

~食べ頃の見分け方~

果皮の表面にざらつきがなくなり、なめらかになってきたら熟してきた証拠。青なしの場合は、熟してくると皮色が緑色から黄色味を帯びて来ます。なお、皮にハリがなくなってきたら過熟気味です。

<保存方法>

日本のなしは追熟をしないので、なるべく早く食べるのが良いとされていますが、乾燥を避けるためビニール袋に入れると、冷蔵庫の野菜室で1週間ほど持ちます。

なしの食感

なしは、ざらざらとした、独特の食感を持ちますが、これは細胞膜がかたく石のようになった石細胞の含有率が高いためです。このシャリシャリ感のもとになる成分はリグニン、ペントザンという、難消化性の食物繊維です。通常、植物の皮部分などに多く含まれ、蓄積してかたくなることによって外部から身を守る働きをしています。

なしに含まれる栄養素

なしには、果糖やリンゴ酸、クエン酸が多く含まれているほか、糖アルコールの一種であるソルビトールやが含まれています。果糖やリンゴ酸、クエン酸には疲労回復効果があり、清涼感のある甘さをもつソルビトールには整腸作用があります。また、前述したように石細胞の成分は食物繊維であるため、なし100gあたり(なし1個250~300g)、食物繊維0.9gと決して多くはありませんが、腸の蠕動運動を促し、便秘を改善する効果があります。また、みずみずしさゆえに水分量は、なし100gあたり88.0gと多くなっています。

参考)柿100gあたり食物繊維2.8g、キウイフルーツ100gあたり食物繊維2.5g

スイカ100gあたり水分89.6g、メロン100gあたり水分87.9g

 

🍐西洋梨(ラ・フランス)

日本なしに対していわゆる洋なしです。果肉がやわらかくねっとりとしているため、バターフルーツとも呼ばれており、フランス原産のラ・フランス、イギリス原産のバートレット等が有名です。日本では、山形県や長野県、青森県などで栽培されています。日本なしと異なり追熟が必要で、実を採取してから2週間ほど追熟させることで果皮が薄緑色から黄色に変わり、果肉がとろけるようにやわらかくなって甘さと芳香が出るようです。追熟の温度管理が難しいため、日本では産地で追熟してすぐ食べられる出荷することが多く、また缶詰によく用いられています。食物繊維は、洋なし100gあたり(洋なし1200300g)、1.9gと日本なしより多くなっています。

 

同じナシ科のバラ属であっても、日本なしはシャキシャキとした食感が楽しめるのに対し、洋なしは甘くとろけるような食感が味わえます。旬は、日本なし(910月)の後に洋なし(1012月)が到来する形になっているので、秋から冬にかけて独特の食感を楽しみ味わうことが出来ます。