【2nd Kitchen BLOG】京都の初冬と海老芋

はじめに:京都の伝統野菜「海老芋」の魅力

「海老芋(えびいも)」は、京都の伝統野菜の一つで、そのユニークな形状と上品な味わいから多くの料理人や美食家に愛されています。特に秋から冬にかけて旬を迎える海老芋は、京都を代表する食材の一つであり、おせち料理や精進料理にも欠かせない存在です。

「海老芋」は、里芋の品種のひとつであり、京都を中心に関西地域で多く栽培され、「京芋」とも呼ばれています。 旬は11月~1月頃で、おせちにも良く使われているようです。

京都府内の海老芋の主な産地は、京田辺市、木津川市、精華町です。京都府内のえびいもの6割を京田辺市が生産しており、府内最大の産地です。

海老芋とは?

1. 海老芋の特徴

海老芋は、名前の通り「海老」に似た形をしていることから名付けられました。見た目はごつごつとした曲がりくねった形で、皮が薄い茶色で縞模様があるのが特徴です。また、肉質はきめ細やかで、加熱するとほくほくとした柔らかい食感を楽しめます。海老芋は「京野菜」として登録されており、他の里芋に比べて甘みがあり、えぐみが少ないため、煮物や揚げ物、さらには炊き込みご飯など多様な料理に活用されています。

 

海老芋の栄養と健康効果

海老芋には、豊富な栄養素が含まれています。特に注目すべき栄養素とその効果を以下にまとめました。

1. 食物繊維

海老芋には食物繊維が豊富に含まれており、粘り成分であるガラクタンとグルコマンナンは水溶性食物繊維で、腸内環境を整える効果があります。食物繊維は便秘の改善に役立つだけでなく、コレステロールの吸収を抑え、生活習慣病の予防にも役立つとされています。

2. ビタミンC

ビタミンCも含まれており、免疫力の向上や美肌効果が期待できます。

3. カリウム

カリウムは、体内のナトリウムを排出する働きがあり、高血圧予防に役立ちます。塩分の摂取が多くなりがちな現代の食生活において、カリウムの摂取は重要です。

芋類の中でもカロリーが低いのも嬉しいポイント。

 

京都ならではの海老芋料理

京都の伝統料理には、海老芋が欠かせません。ここでは、家庭で簡単にできるものから、京都らしい味わいを楽しめるものまで、いくつかの代表的なレシピをご紹介します。

1. 海老芋の炊き込みご飯

海老芋の風味を存分に楽しめる炊き込みご飯は、秋冬にぴったりの一品です。細かく切った海老芋と一緒に、鶏肉や油揚げ、しいたけなどの具材を加えて炊くことで、海老芋のほくほくとした食感がご飯全体に広がります。出汁の風味とともに、上品な味わいを堪能できます。

2. 海老芋の煮物

海老芋の煮物は、だしの効いた関西風の薄味でじっくり煮込むのが一般的です。海老芋は下茹でしてから煮ることで、余分なえぐみを取り除き、だしの風味が染み込みやすくなります。柔らかく煮込まれた海老芋は、口の中でほろりと崩れるほど滑らかで、だしの旨みが一体となった美味しさが楽しめます。

3. 海老芋の揚げ出し

京都の料亭などで提供されることの多い「海老芋の揚げ出し」は、外はカリッと、中はほくほくの食感が楽しめる料理です。海老芋を一口サイズに切り、衣をつけて揚げ、温かい出汁をかけると、上品な一品が完成します。すだちやおろし生姜を添えると、より一層風味が引き立ちます。

海老芋の保存方法と選び方

海老芋は鮮度が大切な野菜のため、保存方法に注意が必要です。

1. 保存方法

海老芋は風通しの良い冷暗所で保存するのがベストです。また、冷蔵庫で保存する場合は、新聞紙などに包んでから保存すると、乾燥を防げます。冷凍保存も可能ですが、解凍時に水っぽくなるため、煮物や揚げ物などの調理をする場合に適しています。

2. 選び方

新鮮な海老芋を選ぶ際には、皮がしっかりと張り、硬さがあるものを選びましょう。また、重みがあり、ずっしりとした感触があるものが良品です。皮にしわや黒ずみがあるものは避けた方が良いでしょう。

まとめ:京都の海老芋で味わう秋冬の味覚

京都の伝統野菜である海老芋は、その独特の形状と風味から、全国的に高い評価を得ている食材です。食物繊維やビタミンC、カリウムなど栄養価も豊富で、健康的な食材としても注目されています。また、煮物や炊き込みご飯、揚げ出しなど、様々な料理に活用できるため、食卓に取り入れやすい食材です。これからの季節、ぜひ京都の海老芋を取り入れて、秋冬の味覚を堪能してみてください。