【2nd Kitchen コラム】アスリート スポーツ選手の身体作りのための食事管理⑦

アスリート=筋肉=たんぱく質、と思っている方も多いのではないでしょうか。今回は、そんな三大栄養素のうちのたんぱく質についてです。

アスリートにとっての”たんぱく質”

たんぱく質は、筋肉の構成成分のみならず体内代謝に関与する酵素やホルモンの成分にもなっています。たんぱく質は、アミノ酸がいくつも繋がって構成されています。アミノ酸には、我々が体内で作ることが出来ないがゆえ、食物から摂らなくてはならない、”必須アミノ酸”があります。そして、そのうちのバリン・ロイシン・イソロイシンの3つのアミノ酸はその構造中に分岐が存在するため、分岐鎖アミノ酸(BCAA:Branched-Chain Amino Acids)と呼ばれています。分岐鎖アミノ酸は運動中にエネルギー源として使われることが多いアミノ酸です。さて、筋肉中にたんぱく質は20%程度含まれており(残り80%は水です)、筋肉中のたんぱく質に含まれている必須アミノ酸の35%が分岐鎖アミノ酸と言われています。なお、食物たんぱく質の中では、必須アミノ酸の約50%が分岐鎖アミノ酸です。分岐鎖アミノ酸は、運動強度が高くなると、分解促進酵素が活性化されるがゆえ、エネルギー源としての利用量が増えることになります。一方、運動時間が長くなると、減少した糖質を補うためにアミノ酸の一部分を使って糖質を作ることから利用量が増加すると考えられています。よって、アスリートにとって、たんぱく質は、運動量の増加や運動時間の延長に伴って摂取量を増加させるべき栄養素と言えます。

アスリートにとっての”たんぱく質摂取” その1

①リカバリーのためのたんぱく質摂取

運動中にエネルギー源として使用されたたんぱく質のリカバリーです。我々はエネルギー源として、まず糖質を、次いで脂質が使われますが、運動時間の延長や運動強度の高まりによってたんぱく質も利用されるようになります。つまり、たんぱく質が分解されてしまうということです。短時間で運動強度の低い場合、この分解は行われませんが、競技力向上を目指す以上、逃れるのは厳しいものがありますね。そこで、糖質の減少による分岐鎖アミノ酸の分解を可能な限り抑えるため、運動前から筋グリコーゲン量を多くしておくこと運動中の糖の摂取を続けることが対策法として挙げられます。これらの方法を取ったとしても、分岐鎖アミノ酸の分解が必要な場合は、筋肉中の分岐鎖アミノ酸のではなく、まず血中のものから使用できるよう、血中の分岐鎖アミノ酸量を高めておく必要があります。よって、運動前・運動中の糖質および分岐鎖アミノ酸の補給がポイントとなってきます。スポーツドリンクやゼリーにBCAAの文字をよく見かけます。選択する際には、これらを頭に入れておくと良いかもしれませんね。