【2nd Kitchen コラム】秋刀魚

今回は、店先でもよく目にするようになった「秋の味覚」の一つ、“さんま“についてです。

さんま pacific saury

サンマ科。日本各地およびアメリカ西岸に至る北太平洋に生息しています。さんまは100%天然でしかもすべてが国産です。旬は、夏から秋で、初夏から秋に太平洋側を北上するものと、冬から春にかけて日本海側を南下するものがあります。初夏の解禁日には16001,200円と値が張りますが、秋も深まるころには100円を割るところまで下がるため、買い求めやすくなります。

さんまの語源

さんまの語源は、細長い体つきからで、それを「狭真魚(さまな)」でと言い、これがさんまに変化したそうです。他方、大群で泳ぐ習性があることから、大きな群れを意味する「サワ(沢)」と「魚」という意味の「マ」が合わさり、「サワンマ」からさんまになったという説も浮上しているようです。

また、漢字は“秋刀魚”のほか、“三馬”とも書かれることもあるようです。前者の秋刀魚は、今では初夏から出回っていますが、かつては秋に収穫されるものであったことからであり、後者の三馬は、当て字です。馬がつくことから築地などでは、符丁的に「午」の字がつかわれているそうです。また、さんまは、形がサヨリとよく似ていることから混同されており、サイラやサイリイなどの地方名でも呼ばれているそう。

美味しいさんまと食べ方

秋の太平洋で獲れた産卵前のさんまは脂がのっており、塩焼きに向いています。さんまの塩焼きは、すだちと大根おろしを添えて、醤油をかけ、食べる食べ方が有名です。すだちのみならず、かぼすやレモン、ゆずなど柑橘類の搾り汁、またポン酢などをかけて食べる食べ方も美味しいようです。一方、お刺身や酢じめ、押し寿司などには脂の乗り切らない初秋のさんまや、産卵後の晩秋のさんまが向いているそうです。さんまが生食されるようになったのは、ごく最近のことで20世紀にはあまり馴染みのないものだったようです。

また、千葉、伊豆半島、熊野灘などにおいて、産卵が終わって脂が抜けたさんまは干物加工されています。千葉では、これを「白干し」と呼ばれており、お酒のおつまみにぴったりのようです。

冷凍技術の進歩によって、旬の時期に獲って急速冷凍し、品質が低下しにくい業務用冷凍庫で保管したものなどは、脂がのっていない「走り」の時期の生よりおいしいこともあるそうです。

<選び方のポイント>

くちばし:黄色やオレンジ色 / えら:鮮紅色 / 背:青黒い色 / 腹:白銀色

背と腹は上記の色がキラキラしており、その境界がくっきりしているものを。身がふっくらしハリがあり、また、手に持った時にヘナっとならず、ピンと立つものも新鮮な証拠とされています。頭が小さく見えるものは脂がのっているとも言われています。目が濁っていないものなどがチェックポイントです。

<美味しい塩焼きの作り方>

①触り過ぎないこと

*ヒトの体温は魚にとっては火傷に匹敵するようです!

②肛門から切ること

*しっかりとした身には火が通りにくく、体長が長いく焼きにくい時には斜めに切ると良いとされており、その際に肛門あたりから切ると早く火が通ると言われています。

 ③塩を振ること

*天然塩を両面にまんべんなく降り、30分以上冷蔵庫に。

 ④グリルを使って焼くこと

*焼く前にグリルは熱しておいておくと良く、また、片面焼きグリルの下部分にアルミを敷いておくと輻射熱で火の通りが早いと言われています。

⑤火加減に気を付けること

*中火~強火に設定し、火の近くにさんまを置き、盛り付けるときに表になる方を7分、ひっくり返してから5分ほど焼きます。

さんまの栄養

多価不飽和脂肪酸のDHAEPAが豊富に含まれています。DHAEPAは、中性脂肪を低下させる効果や虚血性心疾患、血栓ができるのを防ぎ、脳血管障害、アルツハイマー病予防などにも効果があると言われています。DHAは、脳や神経の情報伝達に深く関わっており、動物実験では。記憶・学習能力が上昇したとの報告が。ヒトにおいても、アルツハイマー病の改善や乳幼児の栄養にDHAが十分にあると知能指数が高かったとの報告があります。さんまには、骨を丈夫にするビタミンDも多く含まれているため、成長期の子どもたちにとっても良い食材だと言えます。