【2nd Kitchen コラム】京の伝統野菜「万願寺甘とう」を楽しむ

「万願寺とうがらし」と「万願寺甘とう」は、どちらもナス科トウガラシ属の野菜で、大きめのサイズが特徴です。

万願寺とうがらしはしっかりとした食感で辛みがあります。

これに対し、京の伝統野菜「万願寺甘とう」は大正から昭和初期にかけて舞鶴市の万願寺地区で栽培が始まったとされる特産のとうがらしで、実が大きくて果実がやわらかく、ジューシーだけど辛くない、甘みと独特な風味があるのが特徴です。

とうがらし、であるにもかかわらず全く辛くないので、子どもからお年寄りまで、どなたでも安心して召し上がって頂けます。

この「万願寺甘とう」は2017(平成29)年、京都で初めてGI(地理的表示)に登録されました。
GI(地理的表示)とは、地域で長年培われた生産方法や気候・風土・土壌などの生産地の特性により、高い品質と評価を獲得した産品を国が知的財産として認定・保護する制度〈地理的表示保護制度〉のことです。

かつては栽培が難しいとされていたこの万願寺甘とうですが、現在では品質と安全・安心へのこだわりである、減化学農薬栽培を取り入れたり、ICTを活用したスマート農業という先進的な技術を導入して、作業負担の軽減と安定した農業経営の実現に向け取り組んでおり、京の夏野菜として全国へ出荷できるほどになりました。

 

近年、注目されているのが、この万願寺甘とうが持つ栄養価。

ビタミンA・Cが多く含まれ、夏場のビタミン補給に最適です。 また、食欲増進効果や抗酸化作用があるカプサイシン類が豊富な健康野菜として人気があります。

 

万願寺甘とうの調理法

万願寺甘とうは、その甘さを活かしたシンプルな料理が特におすすめです。例えば、焼き万願寺甘とうは、皮をこんがりと焼いて塩だけで味付けするだけで、そのままの甘さを楽しむことができます。また、炒め物や煮物にしても、他の食材と調和しながらも、その甘さが引き立ちます。

さらに、天ぷらにすることで、外はサクサク、中はジューシーな食感が楽しめます。揚げることで甘さが一層際立つので、万願寺甘とうの新たな魅力を発見できるでしょう。

 

万願寺甘とうを使ったレシピ例

万願寺甘とうの肉詰め
万願寺甘とうを縦に切り、種を取り除きます。中にひき肉を詰め、フライパンで焼きます。

最後に醤油とみりんで味を整えれば、簡単で美味しい一品が完成です。

 

万願寺甘とうと豆腐の炒め物
万願寺甘とうを一口大に切り、豆腐と一緒に炒めます。味付けはシンプルに塩と胡椒でOK。

ヘルシーでボリューム満点の一品です。

 

まとめ

京都の万願寺甘とうは、その独特な甘さと柔らかい食感で、多くの人々に愛されています。栄養価も高く、さまざまな料理に活用できるため、日々の食卓に取り入れることで、健康的で美味しい食事を楽しむことができます。京都を訪れる際には、ぜひこの伝統野菜を手に取って、その魅力を味わってみてください。