【2nd Kitchen コラム】エネルギー代謝

“〇〇カロリー摂取した”、”〇〇カロリー消費した”、という、カロリー(kcal)。このカロリーはそれぞれ、摂取エネルギーおよび消費エネルギーのことです。今回は日常生活でよく口にまたは耳にするkcalが単位となる”エネルギー”について記していきたいと思います。

エネルギー摂取量

エネルギー摂取量とは、我々が摂取した食べ物のエネルギー、すなわち糖質・脂質・たんぱく質の三大栄養素の持つエネルギーのことです。糖質1gあたり4kcal、脂質1gあたり9kcal、たんぱく質1gあたり4kcal。これは、各栄養素を完全に燃焼することにより得られる値に、それぞれの消化吸収率を考慮して算出された値であり、食品中のエネルギー含量を概算するのに用いられています。これらを覚えておくと、商品パッケージの栄養成分表示を見て、三大栄養素の含有量に乗ずることで簡単に算出することが可能であり、また、調味料である砂糖と油・バターも同様に計算出来ます。

 例)小さじ1の砂糖 ※砂糖(上白糖)小さじ1…3g  3g×4kcal=12kcal            

エネルギー消費量

エネルギー消費量は、我々の身体によってその出納がなされているものであり、基礎代謝量活動時代謝量食事誘発性熱産生により構成されています。

基礎代謝量

基礎代謝量は、「呼吸、心拍、体温維持など生命維持に必要な覚醒安静時の最低エネルギー代謝量」と定義されているものですが、簡潔に述べると、運動など、特に何もしていなくても必要なエネルギー量ということです。この基礎代謝に影響を及ぼす要因として以下のものが挙げられます。

●年齢/性別

体成分合成の盛んな乳幼児期から思春期にかけて著しく上昇し、男性では1517歳に、女性は1214歳に、そのピークがあります。両者ともその後は加齢とともに徐々に低下していきます。また、男性の方が女性に比して筋肉などの活性組織が多いため、1日で約20%高くなります。しかし、女性は月経や妊娠などの影響を受けます。排卵後体温は上昇し、月経2~3日前に基礎代謝は最高になり、月経時は最低となります。妊娠期では胎児が成長し、体重が増加する後期に増加します。

●気温/発熱

気温が高いと筋肉が弛緩して代謝が低下し、熱産生が少なくなる一方、気温が低いとそれに応じようと熱産生が盛んになるため、反対の現象が起こります。よって、春および秋に比較して夏は約5%低くなり、冬では約5%高くなります。また、発熱時にも代謝は高まり、正常体温を1℃超えるごとに約13%高まります。

●ホルモン/栄養状態

甲状腺ホルモン、副腎髄質ホルモン、成長ホルモンの分泌が増加している時は基礎代謝が高まります。また、低栄養状態では、生体は不足に対する適応現象でエネルギー消費を極力少なくしようとするため、基礎代謝は低下します。

活動時代謝量

活動時代謝とは、個々の身体活動時に起こる代謝のことです。活動時の身体活動強度を示す指数の一つにMETs(メッツ)というものがあります。「健康づくりのための運動指針2006」において、身体活動の強さを表す単位としてこのMETsが、そのを表す単位としてエクササイズ(METs×時間)が用いられています。本指標は、安静時の何倍に相当するかを表すもので、座って安静にしている状態が1メッツ、普通歩行が3メッツに相当します。以下の簡易換算式に当てはめることで、どのくらい消費したかを計算することが出来ます。

エネルギー消費量(kcal)=1.05×エクササイズ(メッツ・時間)×体重(kg)
例)体重50kgのヒトが、ジョギングを15分実施した場合
※ジョギングは7.5メッツに相当  7.5×15/60=1.875(エクササイズ)
よって、エネルギー消費量=1.05×1.875(エクササイズ)×50≒98(kcal)となります。
主な労作を以下に表で示します。


表にない労作のMETsを知りたい場合は、国立健康・栄養研究所が発行している改訂版『身体活動のメッツ(METs)表』を参考にしてみてください。

食事誘発性熱産生

食後、身体が温かくなることで感じられるように食物摂取によりエネルギー代謝が亢進します。これは栄養素の消化、吸収、各組織への運搬、体内代謝に伴う熱の発生に伴うものと、自律神経系や間脳視床下部、そして、褐色脂肪組織が関与しているのではないかと言われています。食事誘発性熱産生は、エネルギー消費量のわずか10%に過ぎませんが、結果としてエネルギー消費量を増加させることが示唆されるため、関連した様々な研究がなされています。

“エネルギー摂取量エネルギー消費量”の状態が望ましく、このバランスが崩れると、過体重ないし低体重を招きます。最近、体重が増えてきた、減ってきた、という方は少し生活を見直してみるのも良いかもしれません。